記憶の糸_NHK映像の世紀

いまNHKのBSで、『映像の世紀』という番組をやっています。

Wikipedia映像の世紀

この番組は再放送なのですが、私がはじめて見たのは2000年頃、大学生のときに見て、神風特攻隊がアメリカの戦艦に激突する実際の映像をはじめて見て涙がとまらなかった記憶があります。

ベトナム戦争の回などは、米兵が子供の頭を拳銃で撃つ映像がもろにあるとう衝撃的な内容でした。

この番組は、それまでの人生のなかで見かけた、教科書の「文字」や「象徴的な写真」の世界でしか知らなかった「人の死」をこれでもかというくらい見せてきます。

それは貴重だと思います。

なぜなら神風特攻隊の映像を見たときに強く思ったのが、この人たちの死の上に今の日本があるとうことに、はじめてリアリティを持つことが出来たからです。

NHK映像の世紀って、こんな内容

このNHK映像の世紀の内容は、以下のような感じです。

最初のシリーズ『映像の世紀』は、世界各国から集めた膨大な記録フィルムをもとに構成し、第1次世界大戦から、第2次世界大戦、東西冷戦からベトナム戦争、民族紛争へと続く、激動の20世紀の本質を描き出した。

19世紀終盤に、世界で初めて上映された映像から始まり、以降の、映像に収められた世界の主要な出来事を順を追ってまとめています。

そして当時の人の回想録などが織り交ぜられ、当時の人がどのようにそれを見て感じていたのかを視聴者に伝えてくれます。

しかし、この番組の最大の価値は、戦争や、それによって人が死ぬシーンをもっともリアルに伝えてくれているところだと思います。

昨今のあらゆる映像において、人が死ぬというシーンはすべてカットされていると思います。

その結果、人は「死」から遠ざかり、結果的に「生」も希薄になっていると思われます。

「死」から遠ざかっている今、死とはどのようであったかを映像で見た方がいい

この番組の「死」のシーンは、紹介にもあるように、

第一次世界大戦、ホロコースト、ドイツのソ連侵攻、沖縄戦、日本の特攻隊、ベトナム戦争などが集められています。

これを直接的な映像で見ることで、「人の死」「人の大量死」を具体的にイメージできるようになります。

教科書にあるような、文字や当たり障りのない写真では、死のリアルを想像しようにもその具体的イメージが一度でもない中では、はっきりと想像することはできないと思います。

この番組を見ると、それがハッキリとできるようになります。

実際に人が死んでいます。死にます。誰かのための死もあれば、理不尽な死も映像にはあります。そして泣いている子供がいます。死んでいる子供もいます。

それがただただ、事実であったということを見せてくれます。

その人たちの先端に、今の自分たちがいるのだと思えた方がいい

そして、今の自分たちは、その死の積み重ねの先端に生かされているのだ、ということを感じることができます。

そこからは、先達たちが積み上げてくれたものへの感謝の念、死んでいった人たちへの感謝の念、自分がいま生きていることがものすごい確率の上に成立している奇跡、などなど、多くの気づき・多様な感情を想起させてくれます。

自分たちは、ただ偶然にこの世に生を受け、勝手気ままに生きることが人生の目的であり、それを阻害することを忌み嫌うという「今どきのモノの見方」に対して、巨大な疑問符を投げかけてくれます。

昨今の、コロナに見るような「生への執着」を、誰かのために死んでいった人の「生」に対峙させると、なんと浅く感じることでしょうか。

このシリーズは、一見の価値ありです。

私は、一からすべて録画して持っておいて、いつか子供にも見てほしいと思っています。

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