ニーズ探索と既存深化の組織は「混ぜるな危険」 ※『両利きの経営』より

近頃は、ITサービス系のベンチャー企業に転職してからプロダクトマネージャー・プロダクト企画職、みたいなポジションに就いておりまして、

とくに「プロダクト企画・開発」のほうを担当しているのですが、

その組織の生い立ち(モノ売り出身で、コト売り=ソリューション売りの経験が無い)によっては、ITサービス企画というのが、本当にできない、というよりも、

その組織の過去の成功体験から固定化されたマインドセットなどによって、芽が出ることがないし、出ても、それをどうやって扱えばよいかわからない、という現場によく出会います。

そういう組織的な課題に対して、学問的アプローチでまとめてある本の紹介を受けまして、

読んでみたら、自分のなかのモヤモヤが言語化されたような気がしましたので、その内容のメモを備忘的にしておこうと思います。

ちなみにその書籍というのはこちらです。

本書では「ニーズ探索」と「既存深化」の組織は、混ぜるな危険とある

本書では、アメリカの大企業ばかりを取り上げているので、自分が所属する企業のサイズ感に対して、どの程度あてはめるべきか、あてはめないかは、よくよく考える必要があると思いますが、

「成功事業」があって、それを元手に「新規事業」を立ち上げようとする会社にはすべて当てはまることではないかと思います。

で、この本では、「成功事業」に携わっている人たちは、基本的には「深化行動」をしており、その組織から新規事業をやろうとすると、

「深化行動」は、リスクを極小化させる行動であり、

「新規事業」は、リスクを許容する探索的行動であるから、

「深化組織」にいるメンバーが、その所属組織内で「新規事業」をやろうとすると、以下のような発言に代表される社内ハレーションが待ち構えているというわけです。

※これは著者がヒアリングしたなかで出てきた発言のようです。

「私が思うに、あなたの提案は、顧客がその製品を望むか、望まないかさえも わからない製品を 生産するために、

存在するかどうかも知らぬ、間違いなく既存市場よりも 小さい市場に 何百万ドルも投じろというものだ。

しかも、その際に用いるビジネスモデルは、既存の製品ラインよりも 確実に利益率が低い。

あなたの警告によると、この投資をすれば、深刻な組織上の問題が出てくる。

そして、既存事業は 資源を声高に求めている。 いま一度 教えてほしい。なぜ この投資をすべきだというのか」

両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く (p.166)

これは、本当に起きることだと思います。事実、起きています。

これは心情的な鋳型ができてしまっている結果なので、避けられないのです。

「ニーズ探索(=新規事業組織)」は、物理的にさえ既存組織と離した方がよい

こうしたことが、アメリカで「イノベーション!」とか言っている大企業でも起きいることに、ある種の安心を覚えました。

人類、みな同じ。

だからやりようによっては、イノベーションは日本人でも全然問題なくできることなのだ。と。

そして、それを乗り越えれる組織運営をするための体制としては、下記のようなことを挙げていました。

・組織を引き離す

・もちろん人事評価指標も別。リスクを取る組織と、リスクを極小化する組織の評価軸が同じにできるはずがない

・しかし、既存組織の資産の利活用はできる体制にしておく。これが新規事業では強力なアドバンテージになるから

・そのためにも、ニーズ探索組織のトップが、既存組織のトッププレイヤーとの信頼関係を築いておかなければならない。既存組織とのハレーションは必ず起きるからである

・あるいは、既存組織のトッププレイヤーが、ニーズ探索組織への支援を決意しなければならない。理由は同上。

これらが揃わなければ、失敗する確率はより低いであろう、ということです。

もちろん、本書では「リーダーシップ」と「マネジメント」の別とか、他の観点でも条件を挙げているので、気になる方はぜひ読んでみていただければと思います。

私は、そのあたりは、経験上分かっていたことなので、特には目を惹かなかったので、このブログ記事には載せませんでした。

というわけで、

こんな組織体制上のことも大いに影響するのだということを学びつつ、今の自分の新規企画の進め方の緩急を調整していきたいと思います。

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