東芝とソニーと国が、液晶開発に対してタッグを組むようですね。
官民一体となって、ある産業に注力するというのは、世界と戦って行くためには是非とも必要なことだと思います。
また、こういった体制で、かつて半導体で世界を席巻したという実績を持つわけですから、液晶においても、世界制覇を目論んでもらいたいものだと思います。
ただし、半導体において、
・なぜ世界を席巻できたか
・なぜその後に凋落したか
という点は振り返っておきたいと思うのです。そのうえで、液晶の今後について、自分なりにまとめておきたいと思います。
※※※
半導体の場合
当時(1980年代半ば迄)は、メインフレームを言われる大型コンピュータが世界の半導体消費の主流だったようです。
で、このメインフレームには高品質なDRAMが求められたらしく、その要件を満たしているDRAM生産で日本が一番だったようです。
これによって、日本の半導体メーカーは、一時であるにせよ、世界シェア80%という状況を作り出したようですね。すごいです。
その後の凋落の流れは以下のとおりです。
パソコンが主流になってメインフレームの出荷台数が減ったきた。で、そのパソコンには安価なDRAMでいいというふうになってきた。
それに合わせた製品転換をできず、台湾・韓国メーカが先にそれをしてしまった。
結果として、価格・コスト競争に負け、今や、韓国がシェアNo1ということになった。
液晶の場合
今回の統合をまとめますと、
ソニーと東芝が、中小型液晶パネル事業を統合。産業革新機構から、7割~8割の出資を受ける。
世界情勢を見ると、液晶の中小パネル分野においては、大型よりも高機能・高品質が求められ、この点、日本勢がまだまだ優勢。
(※下図)
しかし、中小パネル分野の次世代として有力視されている有機ELという製品では、韓国勢(サムソン)がほぼ独占。
このままでは、いずれ中小パネルは、有機ELに取って代わられるため、今の時点で、巨額を投じて、韓国に追いついておこう。
というものです。
ちなみに大型パネルは、ITバブル後の設備投資の停滞などが原因で、韓国勢にすでに負けているようですね。
まとめ
半導体のときは、市場のニーズが変化(高価なDRAM→安価なDRAM)する中で、それに対応できなかったわけですが、
液晶もまた、技術の変化により、世界の主流商品の採用パネルの変化(液晶→有機EL)がおきて、それに対応していかないと、敗北するという構図にあるようですね。
・・・
液晶については、半導体の轍を踏まないようになればと思います。
半導体のときとの違いとしては、
日本より単価の安い国の有力プレーヤー(韓国・台湾)が既にいたり、ターゲット市場も、新興国まで視野に入れる必要があったりという点があるかと思います。
ぱっと思うだけでも、いっそう厳しい戦いになりそうですね。
ただ、半導体、大型液晶での失敗から、
・市場ニーズに合ったパネル供給に柔軟に対応できる体制
・変化に対応できるための設備投資資金の獲得戦略
というところを押さえれば、負けないのではないかと思います。
日本国民として、世界で優位な戦いを進めてほしいと思います。