記憶の糸

パナソニックが新興国の中間層に向けて、製造・販売を始めるようです。(日経新聞:4/29)

企業の採る戦略のうち、富裕層向けか中間所得層向けか。

日本企業による日欧米向けの製品は、必然的に新興国では富裕層向けとならざるを得ないことでしょう。

だから新興国における売り上げは、そこまで大きくはなかったかもしれません。それでも、日本ブランドとして高級品であり続けれたわけですから、売り上げが小さいこと自体は問題はならなかったと思います。

が、さすがにそうは言ってられなくなったのがここ最近の話。それを象徴するのが、韓国のサムスン・LG電子らの存在です。

サムスンに至っては一社の営業利益が、日本の主要家電メーカー数社をあわせても勝てないというのは周知の事実。

※SAMSUNGの強み・グローバル戦略
 サムスンと日本の微妙な関係

 日本に圧勝したサムスンのグローバル戦略

これは何を意味するのか。それは、遠くない未来において日本が強みとする、技術・品質においても日本製品を超え得るということを意味すると思われます。

メーカーは利益を研究開発に投資して、「プロダクトイノベーション」を起こしていかなければならないビジネスモデルです。

だとすると、いまのサムスンのビジネスの特徴は「プロダクトイノベーション」ではなくて「プロセスイノベーション」と言われていますが、


そこで生まれた巨額の資金を、研究開発に投資すれば、いずれは「プロダクトイノベーション」の領域に踏み込めてくるのは自明だと言えます。(既にそうなのかもしれません)

こうなれば、いかに日本企業のこれまでの技術開発の蓄積があるとはいえ、資金がより豊富なサムスンの方が、同じ時間であればより多くの蓄積ができるのは明白です。

そしてその時間当たりの蓄積量の差は、いつしか「プロダクトイノベーション」の領域において日本を抜き去ると容易に予想できましょう。

このことがあるが故に、新興国で稼ぎまくるサムスンらの存在は無視できないものになっていると思われます。

今回のパナソニックの動きは、そういうことを意味していると思います。

日本人として、このパナソニックの動きに心から応援したいと思います。

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