マネジメントをするにあたっては「人を手足のごとく使う」という表現があります。
手足のごとく使うとは、チームとして1+1=3以上のパフォーマンスが出ている状態ではないでしょうか。
この状態では、マネージャーが気づかなかったことをメンバーが拾ってくれたり、メンバーではできないことをマネージャーが段取りしたりといった、それぞの存在が最大限に活かされている状態かと思います。
が、実際の現場では1+1=2以下のパフォーマンスしか出ないことも多いと思います。
共に、自分以外の人に動いてもらう点では変わりはありません。また、指示通り動いてもらうことにも変わりはありません。では何が違うのでしょうか。
それは、指示の出し方が、マネージャーとメンバー間で最適なレベルになっているか否か、という点にあると思います。
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「○○を頼みます」と一言いえば、その○○の
目的
実現手段
手段の制約
を、即座にメンバーが理解できれば、成果物のイメージすり合わせ、途中の報告・相談で開催される打ち合わせは、とても生産的なものになります。
なぜなら、メンバーが目的を押さえておけば、それぞれの課題解決に対する実現手段は、的を射た提案に自ずとなっているからです。
あとは、「時間」「カネ」「品質」という軸で、顧客の期待値を裏切らないために、どの案を採用するかだけの問題になります。
打ち合わせは、このために存在するようになります。
この状態だと、マネージャーは最低限の指示で、任されるメンバーは自身の工夫で最大限の行動が可能となるので、モチベーションも上がり、このときまさしく、チームとして1+1=3以上の状態なのではないかと思います。
このことから、「人を手足のごとく使う」マネジメントを実現するためには、マネージャーがメンバーに対して、どのレベルで指示を出せば、上記の状態に近づくのかということを把握しなければならないと言えます。
よって、それを見極めるための期間と、そのためのアクションを、プロジェクト初期段階で取るかどうかにかかっているのではないかと考えています。
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1+1=2以下のマネジメントでは、この逆で、
マネージャーの指示の内容は、間違ってはいないがメンバーにとってはボンヤリしているため、プロジェクトの途中々々で、認識合わせや手直しに時間を割かれてしまい、最悪の場合、マネージャーが細かな手順まで指示をだすはめになります。そしてプロジェクトは徐々に進行が滞っていきます。
打ち合わせは、認識のずれがないためや、進捗の遅れを確認するために存在するようになり、プロジェクトを皆が積極的に推進していく体制が崩れます。
こうなると、当然のことながら、メンバーは言われたこと以外はやらなくなり、マネージャーの指示以上のパフォーマンスは出ないということになります。
結果、1+1=2以下となってしまうといえます。
ちなみにですが、この状態は、メンバーに問題があるのではなく、やはり最適なコミュニケーションの水準を探っておかなかった結果だと私は考えます。つまりマネジメントの問題です。
そして、さらに最悪なのは、このことがマネジメントの問題とは理解されず、メンバー側の技量の問題とされ、あろうことかマネージャー本人が「俺のやり方に合わない」という次元で問題を捉えているとき、
このとき、その人のプロジェクトは、いつも切迫感があり、チーム内の誰の笑顔もない、過酷な作業になっていることでしょう。
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書いてきたように、チームのパフォーマンスは、やはりパフォーマンスを発揮させる環境づくりにかかっているであり、その環境を作るのは、やはりそのプロジェクトのリーダーなのだと思います。
よく言われる、
チームはリーダーの能力以上にはならない
とは、まさしくこのことを指しているのだと思います。