兵法書、『六韜』『三略』の関係性を考えてみる

中国の兵法書に、六韜・三略というものがあります。それぞれ別の書ですが、一応、両方とも太公望(呂尚)が記した書ということになっています。

六韜は、太公望が書いた可能性は高いのですが、三略はそうでもなさそうというのがあるようです。

そんな2冊、兵法書が他にあるなかで、特にこの2冊が六韜・三略と、よく並び称されるため、その内容について関連性がないのか考えてみました。

六韜は、内容としては周の文王・武王と太公望との対話形式のものです。その質問は大きく6つに分かれています。

 文 … 理想の政治とは
 武 … 戦争の準備にあたって
 竜 … 戦時中の体制などについて
 虎 … 戦争中の陣形などについて
 豹 … 地形に応じた作戦
 犬 … 用兵。武器に応じた作戦

一方、三略は、著者がその考えをまとめているわけですが、内容は大きく3つに分かれており、

 上略 … 戦争の体勢、人材登用、軍の編成の要諦
 中略 … 自分および臣下のあり方について
 下略 … 平時の組織マネジメント

というものです。

で、読んでみて思ったのですが、三略は原理原則論寄り、六韜は具体論寄り、ということが言えます。

たとえば、戦争に関しては、六韜では細かな作戦論がありますが、三略では、柔剛強弱を自在使い分けることで勝利をつかむ、というような書き方がされています。

なので、三略で原理原則論を、六韜で具体論を、という使い分けで読むのがいいのではないかと思いました。

※ちなみに、政治における原理原則論は、この時代の書籍はすべて、古代中国の三皇五帝時代に範を仰いでいます。

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