
社会人をやっているとテレビを見る機会も減ってきます。
で、自分が昔見たアニメや映画をもう一度見返してみたりすることをたまにやるのですが、そのなかでドラえもん映画シリーズで、やはり不動の傑作だと思うものがあります。
それが『ドラえもん のび太と 鉄人兵団』です。
鉄人兵団はストーリーの起承転結が素晴らしい
この作品、100分の時間なのですが、この時間のなかでストーリーの組み立ても最高です。
少年のロボットへの憧れというところからスタートして、別の星のロボット文明が、地球の人間を奴隷化しようと侵略を開始しようとする。
が、ついにはロボット文明側の登場人物の自己犠牲により、人類を救うという壮大な内容が、極めてコンパクトにまとめられています。
他の作品である『海底鬼岩城』や『竜の騎士』もそうなのですが、はじめは小学生の「あったらいいな」的なところから出発するのですが、その後の展開が本当に自然な流れで、深い世界にまで連れて行ってくれるのがドラえもん映画シリーズの特徴だと思います。
この鉄人兵団も、少年的な内容から、深いテーマへと流れていきます。
少年的な見どころから深いテーマへ
少年的な見どころとしては、まずはロボットとの対決に至るまでの流れです。
はじめはロボットを組み立てていたのび太くんとドラえもんですが、それがロボット文明の他の星からの侵略兵器であることがわかり、地球でそのロボット文明の軍団(鉄人兵団)を迎え撃ちます。
このあたりなどは、子供のころに見るとハラハラドキドキで、見ていておもしろ以外の何物でもありません。
が、その戦闘と平行して、深いテーマが走り出します。
鉄人兵団が最高傑作と言われるところ
で、その深いテーマの見どころは、
始めはロボット文明側の代表として敵対していたロボット(リルル)が、人間(しずかちゃん)の優しさに触れ、考え直して最後には人間の側に立つといったところです。
このロボット側から人間側へと立場変えるところのリルルの揺れる心と、揺らすしずかちゃんのやり取りが、「ドラえもん」という枠を超えています。
当然このロボット側から人間側に立つということは、リルルにとっては、自身の仲間・故郷に対する裏切りとなります。
はじめロボット軍団がやろうとしていることに正義を信じていたリルルですが、しずかちゃんとの会話を通して、人類奴隷化計画の正義のなさを確信し、ついには人間側に立ち、しかもそれが自分の命と引き換えに、というところが感動的です。
終盤のリルルとしずかちゃんのやり取りは圧巻
鉄人兵団を阻止する方法を、地球から遠く離れた地で見つけるリルルとしずかちゃん。
しかし人類を救うその方法は、自身も消えることになると気づくリルル。
自身や仲間が消えることに一瞬、困った表情をします。この部分をちゃんと描写されているのがまた凄いと思います。
そして、人類が救われる方法が見つかったことに対して、「よかったわね」と、しずかちゃんと手をとりあう。もちろん、しずかちゃんも、それをすればリルルが消えてしまことに気づいて既に涙ぐんでいます。
その後、自らの手でも、人類を救う方策を進めます。そして最後の別れのシーンが泣けます。
エンディングが清々しい
鉄人兵団との戦いが終わり、リルルとの別れがあった後のこと、のび太が学校で居残りしていると、そこに生まれ変わったリルルが現れます。
そしてそのことを皆に伝えに走るのび太。ここからエンディングに入っていきます。
このことで、見ている人にとって、リルルが消滅したことによる悲しみが癒やされます。
そして、いつものドラえもんのメンバーが、のび太が見たというリルルを探して「どこ?どこ?」という会話をしながらエンディングに入っていきます。
とてもいい余韻を残して。
この映画、大人になっても一見の価値、大いにありです!