記憶の糸

学校でも会社でも、自分の隣の人が風邪を引いたら自分もうつされるんじゃないかと思っていたら、本当に風邪にかかってしまった、という経験は誰しもあると思います。

一方、同じ状況でも、自分は体も鍛えているし、栄養バランスも気をつけているから大丈夫、と思っていたら、風邪には殆ど罹らないという経験もあるかと思います。

これが所謂、「病は気から」というやつです。

それと同じようなことが、「新型うつ病」についてもいえそうです。


「新型うつ病」なるものは始末が悪い。

なんといってもその特徴が以下のようなものであり、

(1)自分の好きな仕事や活動の時だけ元気になる

(2)「うつ」で休職することにあまり抵抗がなく、休職中の手当など社内制度をよくチェックしている

(3)自責感に乏しく会社や上司のせいにしがち――など

こんなの、仕事でスランプのときには誰しもなるものじゃないか、と思えるくらいありふれた症状だからです。

普通、人はこういうとき、その状況を乗り越えようとする努力のうちに、事態が好転しだすのに、

それを待たずして、逃げ出したくなったときに、「あなたは病気なのですよ。それは周りの環境がそうしたのです。あなたに責任はありません。」などと甘い言葉をかけられれば、

病は気からと同じ原理で、本当にそうなってしまう人が増えることでしょう。

人類の有史以来、仕事が労働が楽しかった時期などないのです。基本的にいつの時代でも、できればやりたくないものだった。

そこに、やらなくてもいい理由が、しかもかなりハードルの低いやらなくてもいい理由がぶら下げられたら、少なからず人はそこに落ち込んでいくものです。

そうした効果の結果、ならなくてもいい人が本当に「新型うつ病」になってしまう。

そんな人の割合が増えれば社会はどうなってしまうのか。

それは停滞でしょう。そういう社員を抱える会社と、傷病休暇により所得を抑えられてしまった個人が増えるのみです。医療機関は儲かると思いますが。

というわけで、新型うつ病は、ひょっとしたら自分もそうかも、と思わせるような症状であるため、広く報道するのは控えるべきだと思います。

と同時に、この手のニュースでいつも思うのは、予防策とかとセット報道して、ネガティブな事実だけを報道しっ放しにするなよ、ということです。

せめてうつ病の主因たるストレスの目新しい発散方法とかも抱き合わせで報道してほしいものです。

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参考情報:新型うつ病はただの「うつ病」ではない

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