会話ロボが認知症を防ぐのではなく、いかに人との会話をもたらすかを検討しなければジリ貧

AIロボットが認知症の予防につながるということを期待を込めて、開発がなされているようです。

縮む日本の先に AIと生きる/4 会話ロボ、認知症防ぐ

毎日新聞2018年1月4日 大阪朝刊

 2025年には団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となり、認知症患者も増えていくと予想されている。発症すると根本的に治すことは難しいが、社会交流で知的な刺激を受けることが予防に役立つと分かってきた。元気に年を重ねるために、人工知能(AI)を使って予防の実現を目指す人たちがいる。

 年の瀬の東京・日本橋。超高層ビルの15階に入る理化学研究所革新知能統合研究センターに60~70代の男女10人が集まった。テーブルの上に、お地蔵さんのような高さ約30センチのロボットが置かれていた。

 壁に写真が映し出されると、ロボットは「テーマは日本橋で見つけた物です。話題提供1分、質疑応答2分でお願いします」と話し、鈴木晃さん(72)を話題提供者に指名した。鈴木さんが「日本橋を船から撮った写真です。橋を下から見られるのは魅力的ですね」と説明すると、他の参加者から「船は速いんですか」「寒かったんじゃない?」と質問が飛んだ。

 ロボットは人の「発話量」を測り、口数が少ない人には発言を促す。話が長くなると「ありがとうございました」と止めに入り、参加者に均等に発話させる。チームリーダーの大武美保子さん(42)が開発した「共想法(きょうそうほう)」という会話支援法だ。人の輪に入って会話を盛り上げるロボットの5年以内の実用化を目標にする。将来は独居のお年寄りと向き合って話す「対話型」も目指す。

 退職や家族との死別。年を取ると人との交流は減っていく。会話の機会を確保して認知症を予防するのが共想法の狙いだ。少し前に写真に収めた出来事を脳に記憶させ、ロボットがそれを会話で引き出す。周りの人は内容に即して質問する。その積み重ねが、認知機能を鍛えていく。

 数年前に亡くなった大武さんの祖母は認知症だった。「元気?」「寒いね」。施設を訪ねても、会話が途切れて気まずかった。機械工学の研究者として、会話がつながる仕掛けがないか考えた。写真を使えばうまくいくかもしれない。仮説が「降ってくるように」浮かんだ。アルバムにあった着物姿のモノクロ写真を見せてみると、祖母は話し始めた。「着物はオレンジ色だったのよ。写真館で撮ってもらって……」

 研究に加わっている長久秀子さん(70)の母(92)も、10年前に認知症と診断された。「誰かがのぞいている」。部屋のカーテンは昼でも閉めたまま。見ていてつらかった。大武さんの講演会を人づてに知り「母との向き合い方を知りたい」と足を運んだ。発症から時間がたって進行は止められなかった。だからこそ予防ができればと思っている。

 ロボットの名前は「ぼのちゃん」。人をほのぼのとした気持ちにして、柔らかい場を作ってくれる技術にしたい。【野田武】=つづく

私はただ一つ質問をしてみたいです。

「あなたは、自分が年老いたとき、認知症の予防ということでロボットを充てがわれたいでしょうか?」と。

自分がそうなったとき、違和感はないでしょうか?

それだったら、家の外に出て、家族でも知人でも友人でも道ゆく若人でも、生きた人間と生の会話をして認知症を予防するのが余程自然ではないか。

そうするために、どうできるかを議論した方が、人間として健全ではないかと思います。

ロボットが老人の相手をするなど、もはやその老人を「人間」として扱っていないように思えてなりません。

開発をしている人には悪いですが、この成果は、より良き社会ではなく、今より少し暗く、無機質な社会を招くことでしょう。

そんなことに力を注ぐなら、それと同じくらい、人間らしい解決方法にも力を注ぐべきだと思います。

たとえば、今は65歳定年という制度の下、自由経済に任せているから、年老いると社会の表舞台から退場させられますが、

そうしたあり方から含めて考えることで、人間らしい認知症予防はできるのではないでしょうか。

など。