国際有事に その人の素の知性が出る ~ロシアのウクライナ侵略時の橋下徹氏、本田圭佑氏、岸田首相、他~

ロシアウクライナに侵略を開始してから、テレビ・WEB上での著名人の発言のなかに、その人の知性の「あり方」が出ているものがあります。

私が目にしたものだけとなりますが、ピックアップしておきたいと思います。

これは後になって、この人たちが日本国内の政治や言論の場で担ぎ上げられたときの、自分自身がそれに賛同するかどうかの慎重な判断をするときのためのメモです。

橋下徹氏:現実的にできることを提言せず、暴論しか出せない知性

これはその昔、政治家が「日本国憲法の9条を改正して軍隊を持つべき」という発言をすると、

「じゃあ、お前が最前線に行って戦えよ!」という発言が返ってくる、というのがあったのですが、

この意見は、何がおかしいかというと、直線的な論理展開で、現実とのバランスに欠けているからおかしいのです。また、現実を何ひとつ進めない論理だから暴論なのです。

たとえば、「お客様は神様です」もそうだし、「公務員は税金で食ってるから納税者に従え」的な考え方と同じです。

そういえば橋下徹氏は、これに近い発言を大阪市長時代にしていた気もします。

もちろん、居酒屋で酒でも飲みながら話す分には、直線的な論理で議論した方が楽しいのですが、現実的な場でそれをすると、ただの迷惑な暴論なのです。

話を戻すと、

日本の国会議員は、その立場からできることをすべきで、それぞれその立場から出来ることをやる以外にないのです。

スウェーデンは、国是を破ってウクライナに兵器供与をします。

【ストックホルムAFP時事】スウェーデン政府は27日、紛争地には兵器を供与しないこれまでの国是を破り、ウクライナに提供すると発表した。アンデション首相は記者団に「ロシアと戦うウクライナの国を守る能力を今、支援することがスウェーデンの安全保障にとって最善だというのが私の結論だ」と語った。

 提供兵器は対戦車砲が中心となる。アンデション首相によると、紛争国にスウェーデンが兵器を送るのは、1939年にフィンランドが当時のソ連の侵攻を受けて以来のことになる。

スイスも過去の方針を転換しました。

[チューリヒ 28日 ロイター] - 永世中立国のスイスは28日、ロシアのウクライナ全面侵攻に対する欧州連合(EU)の制裁措置を導入し、関与したロシア人の資産を凍結すると発表した。これはスイスの伝統から大きく逸脱する動きとなる。

スイス政府は声明で「ロシアのウクライナへの軍事介入が続いていることから、連邦会議(内閣に相当)は2月28日、EUが2月23日と25日に発動した制裁措置を導入することを決めた」と明らかにした。

スイスはまた、ロシアのプーチン大統領、ミシュスチン首相、ラブロフ外相に対する金融制裁を直ちに適用した。

「スイスは、ウクライナとその国民との連帯を再確認し、ポーランドに避難した人々に救援物資を届ける」と表明し、紛争の仲介を改めて提案した。

各国は、各国ができる最大のことをやっています。それを最前線にいって戦闘してこい、という実行不可能な暴論のレベルの低さ。

国連本部でもこんな感じです。

【ニューヨーク時事】米ニューヨークの国連本部で2月28日、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、全193加盟国で構成する国連総会の緊急特別会合が開幕した。初日はシャヒド総会議長、グテレス事務総長に続き、45人の各国代表らが演説。核戦力の態勢強化まで命じたロシアのプーチン大統領や、加担するベラルーシに対し非難が相次いだ一方で、「われわれはウクライナと共にある」と連帯を示す声が続々と上がった。
衆院、「ロシア軍の侵略」と非難決議 ウクライナと連帯示す

 デンマークのヘルマン国連大使は北欧・バルト地域を代表して「平和が勝利し、全ての人々が家に安全に戻れるまで、われわれはウクライナと共にある」と表明。「ロシアが戦闘をやめれば戦争は終わる。ウクライナが戦うのをやめれば、ウクライナはなくなる。目の前にある単純な現実だ」と述べ、揺るがない支援を誓った。
 カナダのレイ国連大使は「ウクライナの人々に直接語り掛けたい。あなたは一人じゃない」と強調。「(ロシアも)一人じゃない。ベラルーシも国連憲章と国際法に違反している」と糾弾した。
 ロシアが核で威嚇したことについてスイスは、「ロシアは(1月に米英仏中と共に)『核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない』との共同声明を発表したばかりではないか」と非難した。

(中略)

 シンガポールのガフール国連大使は「小国が声を上げられるこの会合の開催を歓迎する。強者ができることを行い、弱者が苦しむという『力こそ正義』の世界秩序は小国の生存と安全にとって極めて有害だ」と語った。

橋下徹氏は、この人達にも、「連帯を表明するなら、お前が戦闘に加われ!」と言いたいのだと思いますが、この知性にゾッとする低劣さを感じます。

日本ができることはなにか、を提言することをしないのが元政治家の橋下徹氏です。

ちなみに私は、自分にできることとして、ウクライナに対して寄付しました。

本田圭佑氏:いろんな価値を構造的に検討できない人。「誰も死なないこと」が至上の価値

「個」と「集団」、「個の生命」と「集団の命」といったあり方を考えたことがない人の意見だと思います。

中学生か高校生くらいの知性だと思います。

「お前死にたいか?」→「死にたくない」→「戦争をしたら死ぬ」→「だから戦争はいけない」

「家族・友人が死んでもいいか?」→「嫌だ」→「戦争をしたら死ぬ」→「だから戦争はいけない」

というような、懐かしい社会党の短絡ロジックそのままです。

ウクライナの国(集団)の独立(命)を守ることは、自分も含む家族や友人(個の命)を守ることにつながります。

それも、未来に渡って、個の生命を守ることにつながります。

誰でも今この瞬間、死にたくはありません。

だけど、「死にたくないから戦争は絶対回避」の価値観の延長線上に、生かさず殺さずの未来しかないと思われるなら武器を持って戦います。

そうやって、どの民族も、自分たちの国家を打ち立ててきた、という歴史を知らないのでしょうか。アジアも独立戦争で凄惨を極めました。

この本田圭佑氏の考え方で判断していくと、いまのアジアは、欧米の植民地のままです。

ちなみに、ロシアが要求している、「武装解除」というのは、国家として存立する最低限度のチカラを奪うことで、奴隷化を意味します。

ロシアに隷属するという判断はありえないと思います。

「いかに戦争を回避するか」が、「人が死なないためだけ」だとすると、戦後日本の平和ボケ左翼の思考回路だと言えましょう。

岸田文雄首相:思考回路が憲法9条の護憲派と同じ。環境が変わっても理念に固執する人。

岸田文雄首相は28日の参院予算委員会で、米国の核兵器を自国領土内に配備して共同運用する「核共有(ニュークリア・シェアリング)」について、「非核三原則を堅持するわが国の立場から考えて認められない」との認識を示した。

核共有をめぐっては、ロシアのウクライナ侵攻を受け、自民党の安倍晋三元首相が27日のフジテレビ番組で議論の必要性に言及した。

首相は核共有についての認識を問われ、「平素から自国の領土に米国の核兵器を置き、有事には自国戦闘機などに核兵器を搭載運用可能な体制を保持することによって自国の防衛のために米国の抑止力を共有する枠組みを想定しているものであるとすれば、非核三原則を堅持するというわが国の立場から考えて認められない」と説明した。

核で恫喝するロシアと領土問題を抱えている日本のトップの言葉としては残念です。

では、相手が核戦力で恫喝してきたらどうするのでしょうか?

その答えは、もちろん核で応酬することではないと思いますが、ではどうするのか、という議論をするときに、核戦力の保有も選択肢のひとつとして登場する議論の場があってしかるべきだと思います。

そのうえで否定するという結論に達するのは良いことだと思います。

が、そういう「場」すら封殺してしまうこの発言に、岸田文雄首相という人の素の知性が見えた気がしました。

ちなみにこのスタンスは、戦後ずっと、「憲法9条があるから軍隊を持たない」とか、「平和を愛する諸国民の公正と信義があるから、こちらから仕掛けなければ戦争は起きない」、とか言って、国防の議論が封殺されてきたのと同じなのです。

岸田文雄首相に、左翼の匂いを嗅ぎつけてしまいました。

よく「北方領土交渉」とか言われますが、ロシアは、「交渉」が通じない相手であることは、今回のことでよく知っておかなければなりません。

そんな相手がいるなかで、もしものときのケースの議論すらしないというのでは、臨機応変に対応できる首相とは思えなくなってしまいました。

藤井輝夫 東大総長:最高学府の総長の「きちんとした意見」がこれ。。。

このたびのロシアによるウクライナへの侵攻は、武力によって一方的に現状変更を行おうとするものであり、到底、受け入れられるものではありません。東京大学を代表して、この事態を深く憂慮し、被害の拡大を防ぐため、対話と交渉による平和的解決が図られることを強く望みます。

このことにより、ウクライナやロシアと関係の深い教員、学生をはじめ、本学の構成員及びご家族が大きな影響を受ける可能性があります。今後の事態の行方を注視しつつ、本学として、関係の方々へのサポート等、必要な対応を行います。

令和4年(2022年)2月25日
東京大学総長
藤井輝夫

これ、いかにも玉虫色で、「戦争はいけません。対話で解決しましょう。」って、左翼が言ってるペラペラな意見のままだと思います。

なぜこんな意見に違和感を感じるかと言うと、別の記事で、以下のようにあったからです。

同大関係者によると、藤井総長は「社会問題に対して大学などのアカデミア(学術研究機関)はきちんと意見を表明するべきだ」と考え、メッセージを発信したという。

我が国の最高学府の総長の「きちんとした意見」がこれかぁー、って思うと、なんか情けなくて、列記させていただきました。

まとめ

以上のような感じで、これ以外にもたくさんのバランス感覚の欠ける意見はあるのだと思いますが、私が目に留まった意見はこんな感じでした。

私は、この人達は、これらの意見を言ったということをしかと覚えておきたいと思います。

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