アメリカが「言っていること」と「やっていること」が乖離していることに気づいている人が読むための本

近年のアメリカの仕掛けた戦争において、大よそアメリカが失敗していることを見るにつけ、

アメリカが掲げる自由・民主主義を広めるとして始める戦争は、どうも可笑しいんじゃないかと思う人は多いと思います。

しかしながら、我々日本人は、戦後アメリカの軍事的な保護の下にいるおかげで、国際政治のアメリカの立ち位置や、非民主主義国家の立ち位置を、徹底したリアリズムでとらえる機会はありません。

よって、アメリカの振る舞いが、国際政治の体系的にどのポジションに位置付けられるかや、ロシアがなんとなく悪者に見えてしまうが、ロシアは本質的に何を求めて動いているのか。

といった、それぞれの国家の動きを相対化するような議論も、日本国内にいると殆ど耳に入ることはないのではないかと思います。

そんな人にとって、国際政治の現状の理解を深めるとっかかりとして、かなりわかりやすく書かれてあるのが、この書籍になります。

核兵器廃絶についてのオバマの行為も打算的

アメリカが、自由や民主主義を掲げてその価値観を、世界に広めていると言うべきか、押し付けていると見るべきか、そういったことについて明快な答えを教えてくれる書籍です。

オバマが核廃絶を謳いあげ、広島の平和記念公園に来たのはなぜか。

このことに、米大統領が来たと喜んで涙ぐむ人は、「平和ボケ、ここに極まれり」というだけです。

この著者の言葉を借りれば、それが、アメリカのお家芸である、

「シニカルな打算と偽善に満ちた、高慢な理想主義」

というものであります。

偽善と自己正当化の国、アメリカ

インディアンを殺戮したのは誰か、ハワイ王朝を滅ぼしたのは誰か、フィリピンを滅ぼしたのは、アフガン・イラクを泥沼化させたのは誰か。

彼らがある国・地域と戦争をするとき、「自由と民主主義の戦争」と言います。

そして、我々、日本人が、これらアメリカが戦争を仕掛けた国に対して、「自由がなく」「非民主主義国家」であり「悪」である、と思っているとしたら、

それは完全にアメリカの政治宣伝に乗せられていると言えましょう。

国際社会に対する理解を深めるには

国際社会に対する理解を深めるためには、

この書籍内で名前が出てくるような、アメリカやヨーロッパの著名な国際政治学者の本を読むのが肝要だと思います。

私はこの著者の別の本で、EHカーを知り、その本『危機の二十年』を読み、この著者がよく口にする「バランスオブパワー」に関して、それなりの知識・モノの見方を得ることができました。

たとえば、その知見で書いたのが下記の記事です。

過去記事「国際司法裁判所での決着」は理想主義 ※韓国・竹島問題に寄せて

これからの「国際社会の中での日本」を考えるとき、この著者が言っている観点を抜きには、考える事は不可能でありましょう。

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