コロナ後の 出社 or 在宅ワークを どうハイブリッドすべきか?

アメリカでは、ワクチン接種が進んで、企業活動を平常に戻すような動きが出てきています。

そのなかで、金融機関ではありますが、「出社に戻す」と「ハイブリッド」という二極化したような動きがあるようです。

ゴールドマンは本社勤務のほぼすべての従業員に対し、14日朝から出社を求めている。新型コロナウイルス禍で1年余り前に在宅勤務化が始まって以降、ウォール街で最も野心的なオフィス復帰の一例となる。

一方、シティグループが本社ビルに多くの従業員を呼び戻すのは7月になってからだ。それ以降も同行の多くの従業員は、在宅と出社を組み合わせたハイブリッド型勤務を長期的に選択可能だという。

日本においても、何も考えなければ、コロナ後は当然、「出社」と「在宅ワーク」のハイブリッドが志向されることになるだろうと思いますが、

そいうことに一番合理的な判断を下しそうなアメリカで、「出社に戻す」という会社が、しかも有名な会社がそれをするということで、少し「いかなるハイブリッドがいいのか」を考えてみることにしました。

※ちなみにここでは、出社しなければならない業種・職種は除きます

出社で得られるもの=在宅ワークで失うもの

それではまずは「出社で得られるもの」についてですが、

出社することによって得られることは、同僚・上司・部下との、究極的にはコミュニケーションに関わるすべてだと言えます。

まぁ、教育観点(OJT)とかいろいろあるでしょうが、そういうことはすべて前提として、

私の場合、直近のことについて言えば、「仕事上の付き合い以上に仲良くなるコミュニケーション機会」があったことが挙げられます。

私は釣りが好きで、マイカーを出して、誰かを誘って釣りに行きたいヒトなのですが、このヒトだったら一緒にクルマに乗って行っても楽しいだろうな、という「印象」は、直接のコミュニケーションがないと判断できないです。そういうことは、感じ取らないことには分からないからです。

そして、このようなことの結果、仕事の外での付き合いの輪が広がってくると、得られるのは「心の安定」です。

コミュニティが広がっていくと、心は安定します。

そして「出社で得られるもの」2つ目ですが、これは在宅ワークをすることで、より一層「出社がありがたかった」と感じることは、「3人以上のちょっとした会話(雑談)」です。

オンラインMTGは、時間枠が決められているので、まとまった会話しかできません。

そして「まとまった会話」とは「業務の会話」であり、着想とか閃きとか発散とかいうスタイルのコミュニケーションではありません。

着想とか閃きとかが関わってくるコミュニケーションは、どちらかというと複数人による「雑談」です。

出社すると、この雑談をする機会が自然状態であります。

が、在宅ワークをしていると、「ブレストMTG」として設定しなければなりません。

MTGを設定すると、結果を出さなければならないというバイアスがかかります。本当はそんなことは求めていないのに、です。

「そっか、できないですね」という結末のとき、雑談だとよくある普通のことと思えるのに、MTGをセットすると、無駄な1時間だったと思えるこの差です。

この雑談時間が激減したのは、企画職の私からすると小さくないダメージです。

在宅ワークで得られるもの=出社で失われるもの

続けて、「在宅ワークで得られるもの」ですが、やってみて気づいたことには、家事・育児に関わる「時間」やその「リズムの確保」からくる「心の余裕」でしょうか。

たとえば、家事でも自宅にいれば、その日の晩御飯の食材は、その日の在宅ワークのスキマ時間にスーパーに買いにいけば終わりです。

そして料理の開始時刻も自由度があります。夫婦二人が在宅ワークであれば(我が家は共働きです)、どちらかが時間の融通が効く可能性が高いです。

これが出来ると、子供のお迎えから、ご飯の準備、お風呂、就寝まで、かなり余裕が出来ます。

出社していると、そもそもお迎えに合わせて会社を出なければいけないところから、精神的には既に窮屈な状態で、電車が遅延しようものなら、幼稚園への連絡から、その後のタイムスケジュールの遅れから、全部に影響しています。

もちろん、パートナーが出社していればサポートをしてもらうことも不可能です。

それから、「在宅ワークで得られるもの」2つ目は、「柔軟なライフスタイル」です。

「柔軟なライフスタイル」について、私の場合は、実家の母が怪我をしたときがあったのですが、実家で在宅ワークをすることで、その生活を支えました。これなどは、出社をしていたら間違いなく不可能なことでした。

そして、これを未来に延長して考えると、介護などの様々な状況でも、仕事と家庭のことを両立させることは可能になるでしょう。

記憶の糸在宅ワーク環境を実家に構築できれば年末年始やお盆に合わせて帰省する必要がなくなりそう

方向性としては 出社のメリットを最大限効かせるハイブリッドを!

以上のことを整理すると、

出社で得られるもの:
「仕事上の付き合い以上に仲良くなる機会」
「心の安定」
「雑談(気づきを誘発)」

在宅ワークで得られるもの:
「心の余裕」
「時間」
「柔軟なライフスタイル」

はい、ここから判断するに、在宅ワークで得られるものは絶対に合った方がいいでしょう。

余裕・時間・柔軟性、、、業務を継続的に遂行するにあたってなんと素晴らしい要素かと思います。

そして、出社で得られるものも、なんと素晴らしいことでしょうか。

仲良くなる・心の安定・気づき、、、特に企画職においては、非常に重要な要素です。

「気づき」などは、柔軟なライフスタイルで多様な人材が集まっているところほど起きやすいことで、皆が画一的なライフスタイルの場所では、そこまで良い気づきは出ないと思います。

そして、このことにもう少し考察を加えるなら、

「出社で得られるもの」というのは、毎日そのような状態である必要があるか、というとそうでもない、ということです。

いつも一緒に居るからといって、仲良くなる・心の安定・気づきを得ることはできません。

しかも座席が決まっていたら、物理的な距離があるため、そもそも話すというのもなかなか機会がないものです。

ということで、座席も関係ないようなタイミングが多い日、つまりは、打ち合わせの多い日だと、会議室ではヒトの場所がシャッフルされるので、なんとは無しに話す機会が増えるのではないでしょうか。

また、昼ごはんも、嫌いなヒトが混じった少人数では行く必要はないですが、別に好きでも嫌いでもないヒトとのそこそこの人数での昼ごはんであれば、意識的に参加した方がいいかもしれません。

で、上記の条件が当てはまるような日を狙って、週5日のうちの1日~2日に絞って出社すればいいのではないかと思います。

以上のようなことから、

出社するのは、ヒトと会うため話すために限定して、「出社」と「在宅ワーク」のハイブリッドを模索してみてはどうかと思いました。

無目的的に、週●回は出社!とかやるよりも、目的的に出社とした方がいいと思います。

ちなみに地位のあるヒトであれば、そのような組織運営を設計してみてもいいかもしれません。

たとえば、ある曜日だけ「出社ありきの雑談DAY」とかにして、その日は好きなだけ雑談していいよ、としてしまう。そのほかの曜日は全部在宅ワークでも構わない、とか。

社員の「心の余裕」「時間」「柔軟なライフスタイル」が必要なければ、すべて出社でいいと想う

逆に、出社だけを求める組織があるとすると、

それは、新しい企画などが現場レベルから上がってくる必要もなく、現場というものは、トップダウンで決まったことをどこよりも早く遂行するだけでよい、のであればフル出社の方がいいと思います。

なぜなら、出社した方がやはりコミュニケーション効率が最高に高まりますし、仕事が進まなかったり手戻りする原因の殆どは、コミュニケーションミスによるものだからです。

と、
ここまで書いて思ったのが、冒頭のアメリカの金融機関のスタンスの違いで、ゴールドマン・サックスがフル出社なのは、納得いきます。

あそこは、恐らく日本でもそうだから、本社でもそうだと思うのですが、馬車馬のように現場を働かせます。

同業他社と、やっている事業内容に差をつけることができない業態であり、誰よりも早く動けることが優位性なのであれば、その「早く動ける」ことにのみフォーカスして、出社をしてチームのコミュニケーション効率を最大限高めるという選択肢を採ることは理解できます。

とまぁ、これは外から見ている私の推測なので、実際のところはどういう狙いがあるのか分かりませんが。

それもあと3年・5年とすれば、このハイブリッドの仕方による差が表に出てくるのではないかと思いますので、そういう意味では、このコロナ後の「在宅」「出社」をどう取り込んでい行くかは、本当に興味深いところです。

これからもウォッチしていきたいと思います。

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