記憶の糸

品川駅でデジタル広告が始まりましたね。

最近のOOH広告(Out Of Home)の伸びをみるに、無駄なスペースに液晶ディスプレイを配置して、そこに広告を流すというのは全くもって、賢明な判断だと思います。

通路に、大きなディスプレイが並んでいるのは本当に壮観です。品川駅のこの光景を実際に見てもらいたいと思います。

ただ、この光景に「異様さ」というか「異常さ」を感じ取るのは私だけでしょうか。

確かに、無駄な空間から利益を生むといのは、商業の合理主義的にはまったくもって正しい判断です。

が、一転、金になるなら何をしてもいいのか、という判断基準からすると、まったくもてNGだと思います。こんな光景、異常としか思えません。44個の大型液晶ディスプレイから、広告がひたすら流されているのですから。

しかも必ず、人の目の触れるところに。

これぞ、商業主義の無節操と言わずして何と言いましょうか。

昔、渋沢栄一は、道徳と商業の両立を考えたそうですが、道徳の部分を忘れたのが、この品川駅のデジタルポスターに象徴されているように思います。

誰を幸せにするでもない、単純に広告収入が入ってくるチャネルを増やし、通行人にはひたすら宣伝をするというこのやり方に。

思いますに、こうい無節操が、節操の感覚を破壊し、その破壊された感覚が、また無節操を生み出して行くという良からぬスパイラルを生み出しているのではないでしょうか。

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