記憶の糸
先週、地デジ化対応への移行が行われた。
結果として、29万世帯が未対応であった。

このことに対して「見切り発車」と批判した毎日新聞(http://bit.ly/ncVMym)に対して一言いいたいと思います。

この手の施策で、100%というのはあり得ないということです。
そのあり得ないことを取り上げて、批判するのはおかしい。

移行率は99%以上であったと言います。残り1%未満に備えては、問い合わせがあった時点で即座に対応するには行政としてどうできるか、というのを考えておけばそれでいいのだと思います。

個々人にやってもらうようなことを100%という水準でできるとする考え方は不健全だと思います。

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そういえば、この100%思考、原発のときと同じ思考パターンが見えてしまって、メディアのやり方に気持ち悪さを覚えます。

「絶対安全」などあり得ない。だから、もしほんのわずかな可能性が起こった場合にどうするか、という真剣な議論を東電側が欠いていたのは事実かもしれませんが、

その「絶対」が崩れたことに噛み付く。そして噛み付いた地域住民をテレビで流す。

家に帰れない人は、そういう感情を抱いてそれをぶちまけてしまうのは、あの状況では仕方がないとしても、それをテレビで流して、東電批判を行う。

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今回も、1%未満の未対応を取り上げて、「見切り発車」と言っているわけです。「完全」や「絶対」といったレベルで物事が実現しないと、それは失敗と見なす幼稚な批判というものは、何とかならないものかと思います。

そして未対応世帯への影響はいえば「緊急地震速報のような情報が届かなくなる」でした。

まことに恐縮ですが、地デジ移行からしばらくの期間で、大災害が発生して、その情報をテレビで掴んでいなかったから亡くなられる方がいたとすると、それは仕方がないと思います。

そこまで税金を投入して救済するのか。最後のひとりまで救済するのか。それは仮にそうしようとしたとしても実現不可能なことだと思います。

そしてそれを補完する役目の地域コミュニティも、崩れて久しいわけですから、これはどうしようもありません。

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最後に、政府側も「24日には最後の一軒まで地デジ化との目標を掲げる」というは止めにしたほうがよいと思う。最後の一軒までというのは、聞こえはいいが、実現は不可能だと、普通の感覚の人なら分かります。

その実現不可能なことを、掛け声でどうにかしようとする前に、地デジ切り替え後に、どれだけ早く最後の一軒の未対応世帯を無くすか、ということを真剣に考え、そしてそれを堂々と説明すればよいのだと思います。

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以上、最近の「絶対」「完全」という基準から、ものごとを批判することにとても違和感を覚える今日この頃でした。

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