結論から申し上げますと、共同管理が可能なのは、「約束を果たす」・「契約を守る」ということに、同じ程度の共通了解があるもの同士のみであると思います。
考えてもみてください。あたなが、たとえ多少不利を被ろうとも、程度はあろうが約束は約束だから果たす、という人だとします。
そんな感覚を持つあなたが、次のような人に対して約束はするものでしょうか。
1)約束はしたが、少しでも不利になるようなら約束の履行をしない人
2)約束はしたが、自分とっての勝手な不利と思われる線引きにより一方的に約束を反古にする人
3)約束はしたが、相手の不利につけこんで、最大限の自分だけの利益を引き出そうとする人
4)約束はしたが、相手に付き合うと、自分が一方的に不利になると判断した場合に、約束を破棄してくる人
私であれば、4)のような態度の人であれば、まだ約束はするかもしれません。
なぜなら、相手に一方的に不利を与えているのが自分であってみれば、それはやってはいけないことであり、約束を破棄されてもそれは自分のせいだと思うからです。
ただ、約束とは少なくともそれくらいの覚悟を持ってするものだと思います。
逆に、自分が一方的に不利であるにもかかわらず、「約束があるから」といって相手にずるずると引きずられるのは、人であれ集団であれ、独立なき未成熟状態で、それは宋襄の仁みたいなもので、愚かだと思います。
ただ絶対に約束しない相手は1)~3)に該当する人です。
そしてそれが中国です。
ビジネス思考が好きなコンサルタント(大前研一氏ら)たちの浅はかさ
今回の緊張を解決する案として、尖閣諸島の共同管理をと言っているコンサルタント諸氏を見かけます。
ロジカルに利害を説明したうえで、共同管理にすれば解決できると思っていたり、別の国・地域でそういう例があるから、それで解決できるとするなら、これは浅はかです。
相手がどんな性格の相手であるか、またこれまでの付き合いの経緯から、「共同管理」によってお互い利益を享受できるのかどうか、慎重に相手を疑って判断する必要があると思います。
で、少なくとも、東シナ海でのガス田の中国の対応を見るに、どうして尖閣諸島を共同管理すればうまくいくなど考えることができるのでしょうか。
中国は、その利益を独占したいのです。
日本のことなんて一ミリも気にしなくて良いならそうしたいに決まっています。
そんな基本スタンスの相手に対して、日本人同士の感覚のように、謝れば水に流すとか、お互いの利益を解けば相手も納得するとか、そういう前提で眺めているかのような発言については、これは論理馬鹿ともいえるくらい「理解」や「論理」や「前提」対して浅はかと言えましょう。
私はそれは違うということを表明しておきたいと思います。
ビジネス思考が通用する土俵と、そうでない土俵を見分けがつかなくなっていると言わざるを得ません。