アメリカが靖国参拝に批判してくるのは当然

アメリカが安倍首相の靖国参拝について否定的なことを言ってきています。

私はこれは当然のことだと思います。

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考えてみればそもそもアメリカは日本の自立を望まない。日本が、自分の言うことを聞かなくなるのを許さないスタンスでいます。

このことは第二次大戦後、明確に定めた方針であり、中国との国交正常化の際にも米中の高官のあいだで触れられています。

そしてその方針は今も変わっておらず、日本の核武装論議になると、必ず「我々(アメリカ)は、あなた方(日本)を守る」と言ってくれるのも、日本に自主防衛に取り組ませない戦略の一環です。

アメリカが求めているものは、世界平和などではなく、自国の国益です。

自国の国益を守るためには、アメリカはいまの世界秩序を維持しようとします。世界秩序とはなにかと言えば、軍事力(前提としての経済力)のパワーバランスです。

彼らは現状の維持(アメリカがNo1)のために、国際間で自分たちを超えるパワーが出てきそうであれば、牽制・そしてそれを叩く、ということをやります。

これは歴史的にみて、アメリカが繰り返しやってきた否定しようのない事実です。

彼らがやってきたことは、次のふたつです。

・昨日の敵は今日の友という外交戦術
・お互いが勝手に国力を消耗するように仕向ける

イラン・イラクに対するアメリカの関わり方が有名でしょう。昨日までイラクの友(イランの敵)であり、状況が変わればイランの友(イラクの敵)になるのです。

また、台湾・中国に対する外交もそうだと言えましょう。

ここから見るに、アメリカは世界平和に対する一貫した思想などありません。言い換えれば、一貫して、自分が望ましいと思う世界秩序を維持しようとしていると言えるのです。

アメリカとはかような国です。

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だから、今回の靖国参拝のように、日本が自分たちの価値観を自分たちの手で構築しなおそうという動きに牽制してきます。

なぜなら、日本が、大東亜戦争(太平洋戦争)に対する贖罪意識を持ち続け、自分たちでパワーを放棄し、いつまでもアメリカのコントロール下にある状態こそが、日本がある一定以上のパワーを持ちえなくし、いまのアメリカが望む世界秩序を維持するための条件だからです。

逆に言えば、アメリカは、日本の潜在力を過小評価していません。

自主的に動き出した日本は、いつでも自分たちの脅威になり得ると見ているのです。これもまた、米中国交正常化のときに、キッシンジャーと周恩来の会談(文末の参考文献)のなかから読み取れることです。

だから、ここで牽制し、今の状態に留め、韓国や中国と戦争にならない程度に不和の状態にしておくことで、互いに経済的・軍事的に疲弊するとしたら、それこそがアメリカの狙いどおりと言えましょう。

間違っても、北東アジアが一致協力するような状態こそ、アメリカは一番望んでいないのです。もっとも、それはあり得ないことでしょうが。

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今回のように内政に対してアメリカが牽制してくるような態度に出たときに、独立国家として本来あるべき姿はどいういうものでしょうか。私はこう思います。

落ち着かせるところの見通しを立てて、どのようになだめ、あるいはジャブを打つのかを巧妙に演じつつ、自分たちの発言は取り消さないこと、と。

ニュース:首相補佐官、米批判を取り消しへ

とはいえ、通常は見通し - こう言ったらどう反応するか、それに対してはさらにどう対応するか - の無いなかでは、発言は慎むべきだとも思います。

ちょうど中国が、第二次世界大戦後、国力の整わなかった時代に雌伏のときを過ごしたように。

※参考文献

周恩来・キッシンジャー機密会談録/岩波書店

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