記憶の糸

聞き上手ということについては、会社のコミュニケーション研修などで一度は経験している方が多いのではないでしょうか。

ちなみに、研修の場合、聞き上手であることには明確に目的があります。相手から話を引き出すという目的が。

この目的意識が邪魔をしてかえって、相手から何も聞き出せないことがあり得ることを的確に指摘した文章を見つけましたのでメモしておきます。

 聞き上手の人は、「もっと話をさせよう」とか
 「もっと話を深めよう」といった意識は持たない。

 「話を聞きだそう」という意識が強ければ、話し手は
 それを敏感に察知する。その最悪の例は「根堀り葉堀り
 聞く」という状態だ。

 ・・・中略・・・

 「自分の言いたいことも言わず、自分の聞きたいことも
 聞かずに対話して、いったい何のメリットがあるのか」と
 思う人は、聞き上手には向かないのかもしれない。

 しかし、・・・、聞き上手の人は、他者に対して強い
 影響力を発揮する。

 聞き上手の人が言葉少なに語るメッセージは、相手
 の心の深いところにしっかりと入り込み、アドバイスや
 依頼を聞き入れざるを得なくする。

 人は、自分の話を聞いてくれる人の言葉を受け入れ
 やすいものなのだ。

鈴木秀子著 『心の対話者』(文春新書)より

昨今においては、メソッドが万能のように捉えられている感があります。

特に、コンサルスキルのようなもので紹介されることが多いと思いますが、論理的に正しいアプローチをすれば何でも実現できるという錯覚を一般ビジネスマンに与えてしまいます。

これによって、論理的すぎて毛嫌いされるヒトが一層増えているように思います。

残念ながら、しばらくこうした風潮は続くことだと思います。

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