社会インフラの利用料をもっと下げて自由化やめるべき

「20世紀を代表する自由主義の思想家」、、、という人で、ハイエクという人がいます。

Wikipediaハイエク

この人が、「事業」において、国家の範疇、自由競争の範疇ということについてこんなことを言っています。

「社会にとってはメリット大だが、事業主として利益を上げるのが難しい領域は国家に任せるべし」と。

ハイエクについての記事ハイエクを読む ~国家不在の自由主義を排すためのメモ~

この「事業」の領域にまさしく該当するのが、社会インフラ(電気・水道・ガス・道路・鉄道etc)といった分野だと思います。

寒波がきて大元の電力が逼迫して、新電力業者の価格が高騰していた

さて、この冬(2021年1月~2月)に、日本列島には寒波がきて電力の領域で問題が起きていました。

ざっくり言うと、電力供給が逼迫していて大規模停電が起きる寸前だったのです。

昨今の「脱炭素」というお題目のもと、再生エネルギー(太陽光など)の利用を推進してきた政府・業界ですが、寒波が来たときにはそれら「再生エネルギー」では発電できず役に立たないことが分かりました。

そして、東日本大震災で原発を止めているから、発電の主力は火力発電が主力なのですが、これも原料となるLNG(液化天然ガス)が、コロナの影響で電力需要が落ちると予測されたのに反して、需要は上がり、供給量の予測を外してしまい、LNG不足に陥っていた、ということが原因にあるようです。

そのことについての知人ブログ
九電ホントかわいそう
九州電力が赤字になりそう

この結果、再生エネルギー業者の電力価格が高騰して、そこと契約している消費者は、平常時価格の10倍近くになったそうです。

もちろん、既存の電力会社の電力を使用しているかぎりは、じわじわと値上げはありそうですが、ここまでの高騰はないと思われます。

で、この高騰こそが、要するに自由競争・市場原理に任せて、平時では平均よりは安く供給できるが、非常事態にはかえって悪くなる、という所謂「リスク」なわけです。

市場価格に連動させて電力料金を設定している業者である以上、短期的に業者が生き残るために上げざるを得ないですし、神の見えざる手(アダム・スミス)によって、正当化されることと言えます。

が、消費者としてはいかにも不便益を被っています。もしこのような消費者の数がかなり増えていたとすると、消費者全体の経済活動に深刻な悪影響を及ぼしていたことでしょう。

そんなことが起きないように、こういう公共サービスに近い領域では、自由化をしない方がいいと私は思います。

ちなみに同じころ、アメリカでも寒波による停電が置きたようです。

そのことについての知人ブログテキサスも寒波で電気代高騰、停電。風力タービンが凍りついたからだとさ

水道の自由化話もあるが、思わぬ水不足時には、同じようになるだろう

そういえば、「水道」についても民営化の話がくすぶっています。

これなども、日本の水は豊富だから任せても枯渇することがないことを前提として、民営化してコストダウンした方がいいであろう、という理由が大きなものであろうが、

今回の電力のように、予期せぬ事態になったときに、目も当てられぬ状況になるであろうと思われます。

この手の自由化論の論理の組み立ては、その土台に「常に今日と同じ明日が訪れる」式の平和ボケがあると思います。

社会インフラは、みだりに自由化すべきではないでしょう。

社会インフラは、自由化できないほど料金を下げるべき

最後にではありますが、インフラを運営する側についても書いておきたいと思います。

直感的には、料金が高めなのだと思います。

ハイエクの「事業主として利益があげるのが難しい」水準では全然ないから、民営化によるコストダウンというような議論が入ってくる余地があるのです。

そういえば、携帯電話会社も、総務省からの値下げ要請がしょっちゅうありますが、インフラでありながら利益をあげすぎているとういことが言えると思います。

この利益を抑制して、誰がやっても得にならないから公的機関としてやる、というようになってくれば、新規参入の余地はありませんから、

インフラの自由化により、不測の事態におかしな状況になることもないのではないかと思います。

自由化についての記事東電、値上げ。責任を民間企業に丸投げしたらこうなるよね。

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