記憶の糸

日本酒の消費量が減ってきているようですね。

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1201/26/news056.html


記事では、理由は「若者のアルコール離れ」・「消費者の低価格志向」とありますが、これ本当?と思ってしまいました。

というわけで、消費量という観点からどうなのかということを調べるべく、厚生労働省(一人当たり)・国税庁(全体)のホームページから資料を拝借してきました。

結論から先に言えば、


・一人当たりのアルコール消費量は落ち込んでいない

・アルコール消費量は近年急激に減少していない

・日本酒の消費量は過去から一貫して減少している

ということが言えそうなのです。

※一人当たりのアルコール消費量
記憶の糸-アルコール消費量(一人当たり)

(出典:http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/061122b.html


※アルコール消費量全体の推移
記憶の糸-日本酒消費(総量)

(出典:http://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/shiori-gaikyo/shiori/01.htm


それぞれの図(個人は2003年度まで)で日本酒に注目してみると、飲酒量のトータルが増加している頃でも日本酒の消費量が減っていることが分かります。


今の若年層が飲まなくなったのではなく、少しずつの減少に歯止めをかけられず、ついに今日まできた、というのが実情のようです。これでは「若年層のアルコール離れ」が原因とは言えないと思います。


また低価格志向というのも「?」です。昨今、チューハイやカクテルのようなものよりも高価なウィスキーなどの販売が好調なのは周知のことかと思います。なので、とても高価、ということでなければ、売れるということなのだと思います。


※※※


私は、結局のところは日本酒の消費量が減っているのは、消費者の心を掴むことがずっとできていないという、マーケティング・商品開発・販促の問題に行き着くのではないかと考えます。


逆に、そこを何とかすれば、日本酒の消費量を上向かせることができるのではないでしょうか。


たとえば、昨今のライフスタイルの中に日本酒を位置づけるPRをしてみるとか、昔から「酒は百薬の長」と言われていることから、健康ブームに対して日本酒という切り口から、飲み方を提案できないかと思ってしまいます。

日本酒をそのまま飲むというスタイルが崩れたままなのであれば日本酒をアレンジしてみる。そんなことで、日本酒の消費量は回復するのではないかと思います。


加えて、日本社会で一番金を持っている層は若年層ではありません。で、恐らく日本酒の飲み方からしても、もっとも消費が期待できる層が若年層であるとも思えません。


この年齢層で消費されないことを嘆くのは根本的に間違っていると思います。「老年層がコーラを飲まなくなって困った」みたいな響きを感じます。


とはいえ、日本酒は、日本固有の酒です。このまま衰退していくのではなく、なんとか復活してほしいと思います。

※参考資料

国税庁 酒のしおり

酒類総合研究所

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