ビジネス文脈や 思考文脈や 人間形成文脈 で読書をしていると分かってくるのが、
本のジャンルによって、「時間軸の長短」とか、「原理原則か ただの現象」とか、「凡人偉人の差」というものが歴然とあるということです。
私が今まで読んだ本の内容は、以下のように分類できます。
ビジネス新書 ・・・ 短期、現象、凡人の思考
ビジネス古典 ・・・ 中期、法則
中国古典 ・・・ 長期、短期、原理原則、現象、偉人の思考
ヨーロッパ哲学 ・・・ 原理原則
歴史小説(欧州) ・・・ 長期、原理原則
歴史小説(日本) ・・・ 長期、短期、原理原則、現象、偉人の思考
言うまでもなく、人間の内面の成長にとって読むべきは「時間軸が長い」ほうであり、「原理原則」であり、「偉人」のほうであります。
そうするとビジネス新書は、読まなくてもいいのか、ということになるのですが、
ビジネス新書は「現在の現象の集合体」であり、それを自分のなかでどう位置づけるか、という思考訓練にはなり得ますし、そもそも現在を知らずして、現在に「自分を活かす」ことが出来るはずはありません。ゆえにビジネス新書は読む必要があります。
しかしそれでもやはりビジネス新書は、私の見るところ、局所的な立場の人にとっての利害の書、という側面が色濃く感じられるため、こればかり読んでいては、自分を「成長」すなわち、「統合的」に自己を改善してゆくことは難しいでしょう。
一方で、歴史小説のほうは、というと、そんな局所的な立場の振る舞いをした人間がどういう目に遭うか、とうことを含んでいて、なおかつ、そういう振る舞いをしなかった偉人の思考・判断に切り込んでいます。よって、大いに読む価値があると思うのです。
ただし、ヨーロッパの歴史(ローマもの、ベネツィアもの)は、そのような描写が少ない。
私が読んだのは塩野七生さんのものですが、そもそもそういう見方をしていないだけかもしれませんが、恐らく、人間の内面に関わるような資料には手が届かないのかもしれないし、あるいはイタリア人の内面を日本人が推測することは難しいのではないかと思われます。
なんといっても塩野七生さんは日本人だからです。
記憶の糸 記事一覧
・ローマ帝国(未完)
・ベネツィア共和国
一方で、日本の歴史物は、これは山岡荘八さんのものが良いのですが、やはり同じ日本のことなので、資料がたくさんあるだろうし、何より、同じ日本人だからこそなのだと思いますが、「判断」や「思考」に関する描写も相当に盛り込まれています。
つまり「偉人」が何を考えていたか ― もちろん著者の思想が重なってはいるものの ― ということの記述があるのが、現代で読む者である私にはとても勉強になるのです。
ちなみに、そんな読み方で影響を受けた歴史小説は、以下のとおりです。
記憶の糸 記事一覧
伊達政宗 ・・・ 1つの行動は 必ず収束の見通しを立ててから起こすこと
豊臣秀吉 ・・・ 現実に流されず 自分の志に沿って 現実を選択しなければならない
織田信長 ・・・ 一石二鳥以上の成果を得る「急所を撃つための1つの行動 は何か」を考え抜くこと
柳生宗矩 ・・・ 人として成長するためには、厳しく揉まれることが絶対に必要ということ
徳川慶喜 ・・・ 争いは同じ次元で解決しようとするとどちらかを滅ぼすのみ。両方活かすには1つ上の次元を構想しなければならない。
以上のように、仕事(プロジェクトマネジメントが主)や、自分の「あり方」「生き方」に強く影響を及ぼしています。
たとえば、柳生宗矩の影響で、仕事での「嫌なこと」「面倒なこと」も進んで引き受けるようになり、織田信長の影響で、それらを「一撃で多くの成果を得て終わらせる」ためにはどうすればいいかを考えるようになりました。
そうすると、たとえば、プロジェクトなんかでも、1つ1つの課題を解決していくのではなく、しばらくは課題を発生させておいて、その急所となる課題はなにか、というようなことを考えるようになったりもしました。
これによって、最小の一手で、最大の効果を得れるようになった、という実感があります。
※※※
はい、そんなこともありながら、歴史小説からはかなりの恩恵を授かっているのですが、
その集大成として、江戸260年を作り上げた 徳川家康 ― 今川義元の人質から始まり、幾多の敗戦を経験し、天下人を横目で見ながら、泰平の世を作り上げた人 ― の一生を、歴史小説という切り口で読んで、大いに学びたいと思います。
新たに自分に影響を与えるであろう「ものの見方」や「考え方」を手に入れたい、その極みは、徳川家康以外にはあり得ないのではないかと期待しています。
私の年齢はもう40歳。ここで読んでおかないと、それを活かす機会も減ると思いまして、今年2022年に一気に読んでしまおうと思います。
既に3巻までは かなり前に読んでいたので、4巻から始めます。