エンジニアは上流工程の設計の無能を「アジャイル」で隠している

平均年齢の若い会社に転職して、エンジニアやディレクターの動き方を見ていると分かることがある。

それは、彼らが「アジャイル」を誤用しているということである。

「アジャイル」は成果物の見通しのつきづらいときに使う手法だ。

だからB2Cのサービス開発ではよく使う。ユーザーの使い方が読めないからだ。

が、B2Bの業務支援のようなサービスでは、使われ方は明確に見える。ゆえに成果物がほとんど見えている。

金融にせよ医療にせよ物流にせよ、IT化の対象となる業務領域は、いま運用がまわっている業務から出発する以上、今のご時世で、使われ方や成果物が見えないとすれば、それは上流工程の業務要件定義の無能以外の何物でもない。

失敗するエンジニアの群れ

そして、仮に業務要件定義をしたとしても、システム設計フェーズで、ろくに設計をせずに開発をするエンジニアたちがいる。

彼らは一様に「アジャイルなので」という。

それは単に設計をやりきるスキルと、そのための我慢ができないだけのこと。

私はそういうエンジニア組織を多数見てきた。

そしてそんなエンジニアがいる組織が関わるプロジェクトは確実に炎上している。

決まり文句は、自分たちより上流の設計の不確実性とのこと。

自分たちのシステム上流の設計の無能も大いに関係していると、自分たちの無能も影響していると、言いたくないらしい。

成功するチーム

開眼して、進んで業務理解をしようとするエンジニアが存在し、

同じく開眼し、進んでシステム理解をしようとするディレクターが存在するプロジェクトは、

真っ先に設計に着手し、不確定要素を排除しきれないところだけをアジャイル的に進める。

このプロジェクトはほとんど成功している。

日本人は、民主主義よろしく、成果主義よろしく、ここでも猿真似で失敗している。

自分たちの現実から出発しないかぎり、方法論を使いこなすことはできない。

そして方法論の陰に、自分たちの無能を隠すのは卑劣であろう。

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