組織運営におけるルールは使い方次第 ※韓非子に学ぶ

つい少し前まで私がいた組織では、いつも現場は混乱して、疲弊して、パフォーマンスが全然出ないという有様でした。

で、いつもその極みに達する直前くらいで、立て直しに入ってくれと言われます。

その直後に、私がまっさきに着手するのは、「全体把握」と「指揮系統の確立」です。

このことの重要性は、これまでの「経験」と「読書」によって、何となく分かっているものなのですが、

これを機会に、特に「指揮系統の確立」、換言すると「ルール(法)の確立」ということを体系立てて学び直そうと思い、

古代中国の法家である韓非子の本を手に取りました。

すべてを見るのは不可能。ゆえにルールを流通させる。

韓非子で学べたことのうち、私にとって重く刺さったのはこの考え方です。

いかに有能な君主といえども、家臣の働きをすべて自分の目で確かめることは不可能である。

故に、法を設置して、その基準によって組織運営を行うことで、目が届かなくても十分に組織が回るであろう。とのことです。

会社において、現場のプレーヤーから管理職に上がるところで躓く人は、結局はここだと思います。

「ルールの使い方」を知らない人であれば、今まで現場リーダークラスのときにやってきたみたいに、「自分の目で見よう」とします。

結果、すべてを見きれず、自分の仕事もあったりで、部下から相談が来ても丁寧に対応しきることができず、「上司が話を持とうとしてくれない」という不満の温床にもなります。

が、ルールが適正であれば、それは部下の自分の判断で課題を処理できるようになっていきます。そうすると、部下も自分で仕事をしている感覚が出てきますし、上司も時間を取られることなく、組織はまわり出します。

だから、組織長たるものは、「意の使い所」を、「ルールづくり」および「ルールの適用」にほとんど集中しても差し支えないと思います。

なぜなら、実務をするのは自分ではないからです。

ルールはあるが上手くまわっていない件

で、実際にルール重視の人がいても、うまく回っていない組織・チームはいくらでもあります。

それはルールを運営する人に問題があるからなのですが、私が見てきた「ルールを使いこなせていない駄目な人の例」をいくつか記載しておきたいと思います。

・ルールは、1回言ったら伝わると思ってる人
・ルールを、自分に当てはめようとしない人
・ルールが、その人の常識(過去の自分)である人
・ルールが、以前の職場(有名企業や大企業)である人
・現場の納得感を汲み取ろうとせずにルールを作る人
・ロジカルシンキングだけで機械的なルールを作る人
・ルールを、機械的に適用しようとする人

こんな感じでしょうか。

このような上司がいた場合は、たやすく組織がバラバラになる危険がある、ということを完全に認識しておいたほうがいいと思います。

ただその環境は、逆にいうと「自分がルールづくりを提案して実行できるという経験を積める機会」といえます。

自分の手の届く範囲からでも、自らルールをつくり、そのルールを運用定着させる、という自己成長の機会でありましょう。

私はそうやってきました。結果、課長になってもつまづきはありませんでした。

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