危機感は情報、行動力は自治から生まれ、その完遂には技術が必要

国難に際したとき、いかにして人材が出てきて、それを乗り越えるのか、という観点で、明治維新十傑の大村益次郎の歴史本、『花神』(著:司馬遼太郎)を読みました。

※Wikipedia:大村益次郎

その中で気づいたことは、まとめてると以下のようなものでした。

「危機意識には外部の情報が、その行動力には自治権が源泉」
「最新技術が弱小集団が強大集団に立ち向かう切り札」
「計画性・見通しの重要性」

この観点でまとめました。

危機意識には外部情報が、その行動力には自治権が源泉

・長州藩は下関を往来する西洋の軍艦を見て、国家存亡に強烈な危機意識を持ち、近代化を急いだ。が、東北諸藩は、西洋の軍艦を見る機会もなく、幕府しか見ていなかった状況下で、日本存亡の危機意識を持つことはできなかった。

・中央集権体制を強めると、末端の人まで中央の考え方に染め上げられる。結果として、各集団の、自前の判断力や行動力が萎えてしまう。(アヘン戦争期の中国)

・各地域で、それぞれ独自の強みを育む前提としては、自治(自分で考え、自分で行動し、自分で治める)が大いに役立つ(幕藩体制の日本)

・自治権をもって自分たちの採るべき道を選択できる集団が複数いれば、そのなかから全体の困窮状態を突破しようと判断し、かつ、それを遂行することが可能となる集団が現れ得る。

※上記のように、地方自治により独自の考え方・行動原理を持つことで、全体の危機を乗り越えたという状況は、イギリスの哲学者 J.S.ミルの理想的な民主主義下で少数派が必要という考えを見事に体現しているのだと思います。

過去ブログ議会制民主主義における少数派の価値について

最新技術が、弱小集団が強大集団に立ち向かう切り札

・明治維新の、
政府軍: エミュー銃(元込め、命中精度良し、射程:400m) vs
幕府軍: ゲベール銃(先込め、命中精度悪し、射程:100m)

※この構図は、織田信長の、火縄銃 vs 騎馬隊と同じ

・戦争において、兵の大小を覆す戦術は 奇襲 か、最新技術。
明治維新では、上記のように、火器が最新技術であるか否かによって勝敗を分けた。ちなみに、現代では「IT技術」がそれだと思う。

計画性・見通しの重要性

・戦争の勝負は計画の優劣で決まる。その計画とは次のことである。
彼我の兵力
彼我の戦力
彼我の心理状態(士気)

※「計画性・見通し」を重視する点は、過去に読んだリーダー達の考え方と一致することを、明治維新でも確認することができました。

孫子「とにかくやってみる」で成功・失敗を分ける条件
豊臣秀吉豊臣秀吉に学ぶ ※明智光秀討伐~畿内掌握
伊達政宗伊達政宗に学ぶ ※徳川幕府成立~家光の治世
八甲田山雪中行軍八甲田山死の彷徨 を読む ※指揮官・リーダーのあり方について思ふこと

以上

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